わんちゃんの「予防」はどこまですればいい?飼い主様ごとのお勧め紹介【獣医師監修】
まだ寒い日が続きますが、まもなく動物病院は「予防」シーズンに入ります。
予防は人間と同じで、病気を予め防ぐことです。
一番イメージされるのは狂犬病ワクチンでしょう。
でも、混合ワクチンやらフィラリア、ノミダニ、お腹の虫など、どこまですればいいのかわからないのも正直な所だと思います。
そこで、今回は動物病院目線で飼い主様毎に予防プランをご提案したいと思います。
予防の相談・当院の予防イベントは公式LINEからご対応可能です!

1.法律的に最低限の予防
・狂犬病
※合計2000円~3000円くらい
法律だけ違反しなければいい、という飼い主様は狂犬病ワクチンだけで大丈夫です。
金額は病院によってそう大きくは変わりません。
当院では2000円税込みで頂戴しております。
ただ、法的に問題ない、というだけなので動物病院目線では正直お勧めできません。
例えば、混合ワクチンで予防できる病気などは万一かかった時に治療が難しい場合も多いですし、フィラリアなど死亡のリスクも否定できません。
2.わんちゃんと遊びに行くことがある場合(都市部)
・狂犬病ワクチン
・混合ワクチン(5種)
・フィラリア(9ヶ月)
・ノミダニ(9ヶ月)
※合計28000円~30000円くらい
遊びにいく場合、施設利用に混合ワクチンの証明書が必要な場合が殆どです。
よって混合ワクチンは必須になります。
混合ワクチンの最低限は5種ワクチンを打っておくべきだと思います。
5種はコアワクチン(全てのわんちゃんが予防すべき病気のワクチン)が網羅されています。
また、お友達のわんこからノミをもらう場合もありますし、マダニなども注意が必要です。
フィラリアは蚊が媒介することを考えると最低限予防しておくべきでしょう。
予防期間はHDUという目安があり、大阪だと4月~12月の9ヶ月です。
マダニとフィラリアはセットで予防できるお薬があるので期間をあわせていますが、ノミダニは最近、通年でいますので、追加で3ヶ月予防してもいいかもしれません。
(サナダムシなどお腹の寄生虫もセットで予防できるお薬であれば予防できます。)
価格は体重によって、薬剤によって、また病院によって結構違います。
当院だと体重10㎏未満、フレーバー錠タイプで16600円です。
3.わんちゃんと遊びにいくことがある場合(郊外)
・狂犬病ワクチン
・混合ワクチン(7種~10種)
・フィラリア(9ヶ月)
・ノミダニ(9ヶ月)
※合計30000円~32000円くらい
基本的な考え方は都市部と同じなのですが、郊外の場合、特に川や山へ行く場合はノンコアワクチン(生活環境によって予防すべき病気のワクチン)を打った方がよい場合もあります。
6種で犬コロナウィルス(人間のコロナとは違います。)7種以上でレプトスピラという病気が追加されます。
(8種以上はレプトスピラの型が増えます。)
ただ、レプトスピラについては多くの型がありますので、打っていても感染した症例もあります。
また、当然ながらワクチンの種類が増えると副反応のリスクも増えます。
そう怖がるほどではありませんが、獣医師と相談しながらワクチンの種類を決めることをお勧めします。
尚、当院では原則6種以上のワクチンは接種しておりません。
4.一番お勧めの予防(フル予防)
※合計40000円~くらい
・狂犬病ワクチン
・混合ワクチン(任意のもの)
・フィラリア(12ヶ月)
・ノミダニ(12ヶ月)
ノミは暖かい室内などでは冬でも増えたりします。
なので、できれば通年で予防しておくことが好ましいです。
また、フィラリアも薬の効き方としては「予防する」というより「駆除する」の方が近いです。
(フィラリアのこどもに感染→大人になる前に駆除することで結果的にフィラリア症を予防できる。)
その為、投薬を終了した後に万が一感染があった場合、せっかくの予防が無意味になってしまう可能性もあります。
(12月まできちんと投与できれば基本ないとは思いますが。)
可能であればこちらも通年予防した方が良いでしょう。
ただ、価格がどうしても高くなってしまうため、2や3と併せて検討するのが良いでしょう。
当院だと体重10㎏未満、フレーバー錠タイプで狂犬病+予防薬21300円です。
狂犬病との同時接種はできませんが混合ワクチン5種で4000円です。
5.一番お勧めしない予防
・狂犬病ワクチン
・混合ワクチン(任意)
・フィラリア(3ヶ月など短い期間)
・ノミダニ(同上)
前述の通りフィラリア投薬が終わった後に感染するとその年の予防が意味を失ってしまいます。
フィラリア予防の開始時期が遅かった、などの理由がない場合はせめて冬までは予防を継続することをお勧めいたします。
また、前述の通りノミは家の中で増えると駆除が大変です。
万が一家で大量発生したことを想像してみてください…通年で予防した方がいいというのはわかっていただけると思います。
予防プランの選び方
予防プランを決めるのに大事な要素は「生活環境」と「獣医学の知識」です。
飼い主様は生活環境については当然よくご存知です。
ただ、獣医学を専門的に学ばれた飼い主様は少ないと思います。
(最近は獣医師顔負けの知識を持った飼い主さんもいますが)
一方、獣医師は獣医学を専門に学んできました。
ただ、生活環境は飼い主様に伺うことでしかわかりません。
なので、飼い主様の生活環境を聞いた獣医師のアドバイスを参考に、飼い主様が予防プランを決めるのが最も良いと当院では考えています。
もちろん、詳しく考えず包括的に予防してしまうのも一つですが。
あくまでも最終的な目標は予防できる病気や虫で苦しまない事です。
あれこれ悩まず、是非、LINE等でもお気軽にご相談いただければと思います。

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