混合ワクチンは3年おきでOK！ってホント？【獣医師監修】

混合ワクチンは狂犬病のように毎年接種されている方が多いですよね。
ただ、最近動物病院では3年おきを推奨することもよくあります。
実際のところどうなの？ということで、書いていきたいと思います。

結論：どっちも間違いではない

先に結論だけ申し上げますと年1回、3年に1回、いずれも間違いではありません。
獣医師の世界では、常に病気のことやお薬のこと等研究がなされています。
（あたりまえですが）
ざっくり言いますと、混合ワクチンでできる免疫は3年くらいはもつよね～という科学的な根拠があるということです。
じゃあ3年が正解では？という意見があると思うので、もう少し詳しく書いていきます。

そもそも混合ワクチンとは。その目的とは。

混合ワクチンとは、その名の通りいろんなものが入っているワクチンです。
狂犬病ワクチンでは狂犬病しか予防できませんが、混合ワクチンでは複数の種類の病気が予防できます。

ワクチンは言ってしまえば体内の防災訓練のようなもので、接種することでその病気に対する免疫を作り上げることができます。
ただ、その免疫も永続するものではないので、定期的に接種する必要があります。

ワクチンの接種期間について考えてみる。

ワクチンの接種期間について考えてみる。
では、当初の話に戻って接種期間を色々な側面から考えてみましょう。

全部の病気への免疫が3年もつのか

ここ、大事なポイントでもありますが、全てのわんちゃんが予防すべきとされているコアワクチンでも4種、その他犬コロナやレプトスピラ等ノンコアと呼ばれるものも入れば6種～など、様々なワクチンがあります。
では、全ての免疫が3年もつのか、というとそうではありません。
大丈夫じゃない？という扱いになっているものはコアワクチン(犬ジステンパーウイルス、犬パルボウイルス、犬アデノウイルス（1型、2型）)のみです。
ノンコアについてはあくまでも年1回とされています。

本当に免疫が持続しているのか

当たり前の話といえば当たり前の話なのですが、わんちゃんにも個体差があります。
なので、混合ワクチンを毎年しないにしてもちゃんと効いているのか「抗体価検査」というものを行うべきです。
何が問題ってこの抗体価検査が往々にして混合ワクチンより高いということ…

ワクチンメーカーは何年で想定しているのか

国内で接種されている混合ワクチンは海外製のものが殆どなので、基本的には1年、3年両方に対応するスタンスで考えているようです。
当院で使用しているメーカーの資料では、成犬向けのベーシックな予防として毎年5種ないし7種の接種を上げ、毎年接種を避けたい場合は、1年目にコアワクチン、続く2年は5種未満のワクチンを接種することを提案しています。
ようするにワクチンの種類が変わるだけで毎年接種です。

当院の推奨

基本的には当院はあくまで生活環境を考えた上でですが、毎年接種を推奨しています。
理由は後述いたします。

そもそもなぜ3年という話がでてきたのか。

これは、ワクチンがある程度体に負担がかかるからです。
イメージしやすい話ですと、ワクチンには副反応があります。
前年大丈夫であれば基本大丈夫かとは思いますが、「病気を予防する為のワクチンで体調を崩してしまうのは本末転倒だ」ということで接種回数を減らすことも考えているということです。

3年接種のメリット、デメリット

一番大きなメリットは前述の通り、接種回数を減らす（＝体の負担を減らす）ということです。
とはいえ、ワクチン自体は比較的安全性の高いものではあるので、専門化たる獣医師が適切に使用すればそこまで気にするようなことはでないような気もしますが。
デメリットとしては、抗体価検査によって支出が増加するということ、そしてこれが一番大事ですが、受けられないサービスが出てくるということです。
というのも、国内ではまだまだ年1回の接種が主流ですから、トリミングサロンやペットホテルの利用条件として1年以内にワクチンの接種を受けていること、というものがあったりします。
抗体価検査が一般的になればこの点は改善するかもしれませんが、まだまだというのが正直なところです。

1年接種のメリット、デメリット

そのまま3年接種のデメリットがメリット、メリットがデメリットということになります。
また、3年に1回接種というのではあくまでも「個々の生活環境による」という前提のものです。
例えば、基本皆様5種以上のワクチンを接種するかと思いますが、その5種ワクチンに含まれるノンコアワクチンについて、パラインフルエンザという病気で感染力が非常に高いです。
成犬で重症化することはあまりないにせよ、他のわんちゃんと触れ合うのであれば予防しておくことをお勧めします。
もちろん、完全室内飼育のわんちゃんなどは特に毎年接種の必要はない気がしますが。

接種間隔について、まとめ

つらつらと書いてきましたが、個人としての意見を言わせてもらうと、一般的に1年に1回だから、3年に1回でいいという情報があるから、で選択するよりも、そのわんちゃんの生活環境、そのわんちゃん自身の状況など諸々を勘案して、獣医師と相談しながら接種間隔を決めるのが望ましいと思います。
よそのわんちゃんはよそのわんちゃんで、その子にあった方法が必ずしもうちの子に合う訳ではありません。
愛犬を病気から守れるのは飼い主様だけです。
安易に判断せず、まずは獣医師に相談してから考えてみることをお勧めします。
当院では、予防のご相談はLINEにて無料で受付しております。

是非ご登録いただき、判断材料の一つにしていただければ幸いです。

※LINEでの診察等は行っておりません。あくまで獣医学的見地に基づいた一般論としてご相談をお受けしております。