夏になると増える「蚊」。人にとっては身近な虫ですが、犬にとっても決して無関係な存在ではありません。
「犬も蚊に刺されるの?」「刺されても少しかゆいだけでは?」と思われる飼い主様も多いかもしれません。
しかし、犬が蚊に刺されることで起こる問題は、単なる皮膚のかゆみだけではありません。
特に注意したいのが、蚊が媒介する「犬フィラリア症(犬糸状虫症)」です。
犬の健康を守るためには、蚊が増える季節だけでなく、蚊が活動する時期全体を意識した予防が大切です。
今回は、犬が蚊に刺された場合に起こることや、フィラリア予防が必要な理由について詳しく解説します。
犬も蚊に刺される?
結論からいうと、犬も蚊に刺されます。
蚊は人だけを狙っているわけではなく、犬や猫などの動物の血液も吸います。
犬は全身を毛で覆われていますが、蚊が刺せないわけではありません。
特に、毛が薄い部分や皮膚が露出しやすい場所は刺されやすい傾向があります。
- 鼻の周囲
- 耳の裏側
- お腹や内股
- 足先
- 毛が薄い部分
また、犬は人よりも体温が高く、呼吸によって二酸化炭素を多く出しているため、蚊に見つかりやすい条件があります。
散歩中や庭、ベランダなど、屋外に出る機会がある犬は特に注意が必要です。
蚊に刺された犬に起こる症状
犬が蚊に刺された場合、必ず症状が出るわけではありません。
多くの場合は、人と同じように一時的なかゆみや皮膚の赤みが見られる程度です。
しかし、犬によっては蚊の唾液に含まれる成分に反応して、強い皮膚症状を起こすことがあります。
1. 刺された部分の赤みや腫れ
蚊に刺された場所では、免疫反応によって赤くなったり、少し腫れたりすることがあります。
特に顔周りや耳など、皮膚が薄い場所では目立つことがあります。
2. かゆみによる掻き壊し
犬は人のように「かゆい場所を手で軽くかく」ということが難しいため、強く引っ掻いたり、舐め続けたりすることがあります。
その結果、皮膚に傷ができ、細菌感染による皮膚炎につながる場合があります。
3. アレルギー反応
犬によっては蚊に対するアレルギー反応を起こし、強いかゆみや脱毛、皮膚炎を起こすことがあります。
特に、過去に虫刺されで強い症状が出たことがある犬は注意が必要です。
最も注意すべき「犬フィラリア症」
犬が蚊に刺されることで最も警戒すべき病気が、犬フィラリア症です。
犬フィラリア症は、蚊が媒介する寄生虫による病気です。
感染した犬の血液中にはフィラリアの幼虫が存在し、その犬を吸血した蚊が、別の犬を刺すことで感染が広がります。
つまり、蚊はフィラリアを運ぶ「運び屋」の役割をしています。
フィラリアが犬の体内に入るとどうなる?
蚊に刺された直後に症状が出るわけではありません。
フィラリアの幼虫は犬の体内で成長し、最終的には心臓や肺の血管に寄生します。
成長したフィラリアは長いもので数十cmにもなり、心臓や血管に大きな負担をかけます。
初期には目立った症状がないことも多く、飼い主様が気づかない間に病気が進行しているケースもあります。
進行すると、以下のような症状が見られることがあります。
- 咳が増える
- 散歩ですぐ疲れる
- 元気がなくなる
- 食欲が低下する
- お腹が膨らむ
- 呼吸が苦しそうになる
重症化すると命に関わることもあるため、感染してから治療するよりも、感染を防ぐことが非常に重要です。
「室内犬だから蚊に刺されない」は間違い
「うちは室内で飼っているから大丈夫」と考える方もいらっしゃいます。
しかし、室内犬でも蚊に刺される可能性はあります。
蚊は玄関の開閉や網戸の隙間、人の出入りなどを通じて室内に侵入します。
また、マンションの高層階であっても蚊が飛んでくることがあります。
散歩に毎日行かない犬や、ほとんど外に出ない犬でも、フィラリア予防が必要とされる理由はここにあります。
蚊に刺されないためにできる対策
蚊によるリスクを減らすためには、日常生活での対策も大切です。
- 庭やベランダに水がたまる場所を作らない
- 散歩では蚊が多い場所を避ける
- 必要に応じて犬用の虫よけ用品を利用する
- 室内への蚊の侵入を減らす
ただし、これらの対策だけでフィラリア感染を完全に防ぐことはできません。
そのため、動物病院では予防薬による対策をおすすめしています。
フィラリア予防薬は「蚊を避ける薬」ではありません
よくある誤解として、「フィラリア予防薬を飲めば蚊に刺されなくなる」というものがあります。
しかし、フィラリア予防薬は蚊を寄せ付けない薬ではありません。
フィラリア予防薬の役割は、蚊に刺された際に犬の体内へ入ったフィラリアの幼虫を駆除し、成長する前に感染を防ぐことです。
そのため、蚊が活動する時期には定期的な投薬が必要になります。
なぜ毎月の予防が必要なの?
フィラリア予防薬は、基本的に蚊が発生する時期から蚊がいなくなった後まで、決められた間隔で使用します。
これは、薬が「これから刺される蚊」を防ぐものではなく、「前回の投薬以降に感染した可能性のある幼虫」を駆除する仕組みだからです。
投薬期間や開始時期、終了時期は地域の気候によって異なるため、動物病院で相談することが大切です。
まとめ:蚊への対策は愛犬の命を守る予防です
犬が蚊に刺されること自体は珍しいことではありません。
しかし、問題は「蚊に刺されたこと」ではなく、その蚊がフィラリアを運んでいる可能性があることです。
犬フィラリア症は、感染してからでは治療が難しくなる場合があります。
だからこそ、蚊が活動する季節には、毎年しっかりと予防を行うことが大切です。
愛犬が元気に長く暮らすために、日頃の虫対策と動物病院での定期的なフィラリア予防を習慣にしましょう。