ペット医療が高度化している現代では、ペット保険への加入を検討する飼い主さんが増えています。
動物病院での治療費は自由診療であり、同じ治療でも費用が大きく変わることも珍しくありません。
万が一のときに家計への負担を減らし、大切な家族であるペットに最適な治療を受けさせるため、多くの家庭にとってペット保険は強い味方と言えるでしょう。
しかし、ペット保険は各社によって補償内容や条件が大きく異なります。
内容をよく確認しないまま加入すると「こんなはずじゃなかった」と後悔するケースも少なくありません。
本コラムでは、ペット保険の選び方と、意外と気づきにくい落とし穴について詳しく解説します。
※尚、当院の診療については原則保険のご利用はいただけません。
（予防診療のみになるため）
ペット保険を選ぶ際に押さえるべき基本ポイント
1. 補償割合と補償限度額
ペット保険には「70％補償」「50％補償」など、治療費に対してどれくらい保険金が支払われるかが決められています。
（100%負担もあります。）
通常は補償割合が高いほど自己負担が少なくなりますが、その分保険料は上がります。
また、1年間の支払上限額や、1回の事故ごとの上限額が設定されていることもあります。
手術費用が高額になった場合、上限額を超えた分は自己負担となるため、保険に加入する目的に合わせて慎重に検討する必要があります。
2. 通院・入院・手術の補償範囲
多くの保険は「通院・入院・手術すべて補償」「手術だけ補償」などのプランに分かれています。
若いペットは通院が中心ですが、シニアになると入院や手術のリスクが高まります。
ペットの年齢や生活習慣、支払う保険料等を考慮して、どの補償が必要か見極めましょう。
3. 保険料の変動タイプ
ペット保険は年齢とともに保険料が高くなるタイプが一般的です。
しかし、「終身ほぼ一定」というタイプも存在します。
若いうちから加入し、長く継続する場合には、どのように保険料が変わるかを必ず確認しておきましょう。
見落としがちなペット保険の落とし穴
1. 既往症は補償されない
ペット保険の多くは、加入時点で既に発症していた病気や治療中の病気は補償対象外になります。
体調を崩した後で保険に加入しようとしても、対象外とされることがほとんどです。
健診で異常が見つかる前、若くて健康なうちに加入しておくことが理想です。
また、加入直後は原則的に保険がおりません。
2. 犬種・猫種によって保険料が変わる
大型犬や特定の犬種は病気のリスクが高いとされ、保険料が高く設定されていることがあります。
また、特定疾患が補償対象外となる場合もあります。
必ず「自分のペットの犬種での保険料」や「補償対象外の病気」を確認しておきましょう。
少ないですが、鳥やウサギが入れる保険もあるようです。
3. 免責金額の存在
免責とは「一定金額までは保険金が出ない」という仕組みです。
例えば1回の治療につき5000円の免責がある場合、軽い通院が続くとほとんど補償を受けられないこともあります。
通院の頻度が高いペットには、免責なしのプランが向いています。
4. 保険金請求の手間
保険によっては、書類提出や診療明細の作成など、請求に手間がかかることもあります。
最近では「窓口精算対応」の保険も増えており、動物病院で直接割引されるため非常に便利です。
忙しい方や通院回数が多い場合は、このタイプを選ぶのも良い選択です。
5. 加入可能年齢の制限
年齢を重ねたペットは新規加入が難しくなります。
多くの保険は新規加入の上限年齢を設けており、シニア期に入ってからでは選択肢が限られることがあります。
早めの加入が重要です。
また、殆どの場合、ペット保険には保健期間があります。
期間満了とともに自動更新の流れが多い印象です。
ただ、保険商品によっては更新が断られるケースもあり得ますので、更新条件についても十分確認しておく必要があります。
6. 対象に微妙な差がある
保険支給の対象になる診療内容が若干異なる場合があります。
例えば鍼灸治療などは対象外のものが多いですが、たまに対象のものもあります。
また、原則予防的な治療は対象外です。
狂犬病や混合ワクチン、フィラリア予防薬や健康診断、予防的目的のスケーリングなどは保障されません。
予防ではありませんが混合ワクチン等で予防できる病気も保障対象外であることがほとんどかと思います。
ライフステージごとのおすすめ選び方
若齢期（0〜3歳）
加入のベストタイミングです。
保険料も比較的安く、持病があることも少ないため補償の幅が広いのが特徴です。
通院から手術までフルカバーのプランが安心です。
ここで入っておくのが一番お勧めです。
成犬・成猫期（4〜7歳）
日常的な通院が増えやすい時期です。
通院補償の有無や限度額を重視して選ぶと良いでしょう。
シニア期（8歳〜）
入院・手術リスクが高まるため、手術補償が手厚いプランが安心です。
ただし、加入制限に注意し、継続可能な保険であることを確認してください。
また、高齢期の加入は保険料がそもそも高くなる傾向です。
まとめ
ペット保険は一見わかりやすそうに見えますが、補償内容の違いや条件を把握していないと、いざという時に十分な補償を受けられない場合があります。
ペットの性格、年齢、疾患リスク、飼い主の生活スタイルを考慮し、最適なプランを選ぶことが大切です。
大切な家族を守るためにも、ぜひ時間をかけて比較検討してみてください。
尚、当院では保険商品の勧誘や販売は一切行っておりません為、保険のご相談にはお答えできません。
予めご了承くださいませ。
執筆：ファミリー動物病院スタッフ 田村（2級ファイナンシャル・プランニング技能士）