わんちゃんの予防薬の種類、期間の決め方

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今年の予防接種が始まって、既に1000頭を超えるわんちゃんが予約・来場してくれています! 当院がお役に立てているようで非常に嬉しいです。ありがとうございます! そんな中、会場でお話をしていると皆様やっぱり悩まれるのが、予防薬の種類と期間。 そこで、当院が処方している予防薬の違いを簡単にご案内し、予防薬選びの一つの基準をご提示できればと思います。

1.まずはお薬を決めましょう

当院が処方している予防薬には以下のものがあります。
ネクスガードスペクトラ クレデリオプラス パナメクチン錠S フィプロスポットプラス
お薬の特徴 柔らかい大豆ミート おやつタイプ ビーフフレーバー 錠剤 小さいので投与が簡単 錠剤 首の後ろ*1に垂らすだけ スポット剤
フィラリア予防
ノミダニ予防
お腹の虫*2予防
メリット 喜んで食べてくれる子が多い 錠剤だがよく食べてくれる 価格がネクスガードスペクトラに比べ安め 小さいので飲ませるのが簡単 価格が安い 垂らすだけなので投薬に慣れていなくても簡単
デメリット 高価 ややネクスガードスペクトラより嗜好性が落ちる*3 フレーバーなしの為自発的には食べにくい ノミダニの予防が別途必要 フィラリアの予防が別途必要 投与直後のシャンプー×
*1…正確には肩甲骨間背部の被毛を避けた皮膚上に塗布。 *2…主に消化管に寄生する虫のことです。 ネクスガードスペクトラ:犬回虫、犬小回虫、犬鉤虫、犬鞭虫が対象。 クレデリオプラス:犬回虫、犬鉤虫、犬鞭虫が対象。 *3…当院における飼い主様からのヒアリングの感想です。

お勧めはネクスガードスペクトラかクレデリオプラス

当然、全て予防すべきものですのでネクスガードスペクトラまたはクレデリオプラスを選択した方が好ましいとは思います。 では、どっちを選ぶかというお話になると、わんちゃんの普段の食事や、投薬のことを考えてみましょう。 以下のようなことをポイントにしてください。 ・昨年から飲ませているお薬があるなら、同じものを継続する方が良い。 ・グルメなわんちゃんならネクスガードスペクトラの方が良い。 ・こだわりなく食べてくれるならクレデリオプラスの方がお勧め。 ・どちらも食べなかった経験があるならクレデリオプラスの方が良い。 総合して当院ではクレデリオプラスをお勧めしています。

オールインワンを選ばない場合

オールインワンを選ばない場合でもフィラリアは予防しておいた方が良いです。 フィラリアは蚊が媒介する、ということは皆さんご存知だと思います。 一年の間、室内に蚊が入ってくることを完全に防ぐのはおそらく不可能です。 また、散歩に行っている間にも蚊に刺されることがあるでしょう。 フィラリア症は命に関わるうえに、予防が一般的になったことで治療経験のある獣医師も減りつつあります。 後で後悔しない為にも、こちらは絶対予防しておいた方が良いと当院では考えております。 ノミやダニについてもやっぱり予防が好ましいです。 媒介する病気の種類も多く、人間にもうつるもの、命に関わるものもあります。 また、ノミが一度自宅に入ってしまうと、一年中繁殖できるので駆除が大変です。 お腹の虫は感染してしまうと消化器症状から、呼吸器に症状が出ることもあります。 そしてフィラリア同様体の中にいますので目に見えません。 人にもうつりますし、再感染することもありますので、予防をお勧めします。 動物病院の立場から言うと、やっぱり予防できるものは予防するのがお勧めなので、こういう書き方になってしまいますね。 せめてフィラリアとノミダニはお願いしたいところ…

2.次に予防期間を決めましょう

お薬が決まったら、次は何カ月飲むか(垂らすか)ということになります。 もちろんこれもお勧めは通年(12ヶ月)です。 ノミダニやお腹の虫は年中感染可能性はありますし、フィラリアは後述する薬の働きのためです。 次点でお勧めなのは9ヶ月です。 これは、フィラリア予防薬を基準にしています。 実は、予防薬予防薬と言っていますが、フィラリア予防薬は実はフィラリアに感染することを防ぐものではなく、フィラリアが体に入った後、成長する前に駆除する薬になります。 結果として、いわゆるフィラリア症の予防を防ぐことができる形になっています。 その為、投与後に感染するとこれまでの予防が無意味になってしまうという問題点があるのです。 なので、フィラリア予防の期間は「最初の蚊が確認された時」から「最後の蚊が確認された時」の1ヶ月後になります。 いまいちわかりにくいですね。 地域によっても気温差があり、蚊が活動する期間も違うので、HDU(Heartworm Development heat Unit)という目安があります。 HDUの詳しい説明については省きますが、この目安を使うと関西ではだいたい4月(又は5月)~12月の9ヶ月間(8ヶ月間)予防しなければならないということです。 ただ、HDUは感染期間を限定するものではなく、昨今の気候はちょっとおかしい部分もありますから、通年の方が良いのは間違いないですが。 もちろん、ノミダニなどの薬とフィラリアの薬を分けている場合はフィラリア9ヶ月、ノミダニ通年といった投与も可能です。 あとは、昨年の薬が余っている場合は使用期限を確認のうえ、必要な分だけ購入する方が良いでしょう。

3.結論

結論として、下記のいずれかの選択肢がお勧めです。
オールインワン12ヶ月 フィラリア9ヶ月 ノミダニ12ヶ月 オールインワン9ヶ月
お勧め度 ★★★ ★★ ★★
フィラリア予防
ノミダニ予防
お腹の虫*1予防 ×
メリット 一番間違いない予防 月1錠の投与で済むので手軽 フィラリアはほぼ予防できている ノミダニは冬もばっちり 月1錠の投与で済む 最低限の予防はカバーできる
デメリット 値段が比較的高い 分けて投与する必要がある お腹の虫は対象外 1月~3月のフィラリア感染はほぼないと思われるが、ノミダニ、お腹の虫は有り得る。
前述しましたが、昨年の薬が余っている等の場合は適宜増減していただければと思います。 尚、当院ではフィラリア予防を含むお薬について6カ月分で1000円、9ヶ月分で2000円、12ヶ月分で3000円のお値引きを行っております。 また、ワクチンもセットの場合、追加でお値引きいたします。 よろしければ開催イベントの詳細についてご確認くださいませ。 不明点はLINEからのお問い合わせも承っております。
   

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