ペットの健康を考える前に読んでおきたい「グレインフリー」フードの本当のところ【獣医師監修】
グレインフリーのペットフード
近年、ペットショップやオンラインストアで「グレインフリー(穀物不使用)」と表示されたドッグフードやキャットフードを多く見かけます。
「グレインフリー=体に良い」「穀物は犬や猫には不要」というイメージを持つ飼い主さんも増えています。しかし実際には、グレインフリーには利点がある一方で、注意すべき点や誤解も多く存在します。
ここでは、グレインフリーの特徴や利点・リスク、さらに「アレルゲンフリー」との違いについて、飼い主向けに分かりやすく解説します。
グレインフリーとは何か
「グレイン(grain)」とは小麦、トウモロコシ、米、大麦などの穀物を指します。つまりグレインフリーフードは穀物を使用していないフードです。
一般的なペットフードでは穀物は炭水化物源として使われ、加工のしやすさやコスト面のメリットがあります。
一方、グレインフリーの製品では穀物の代わりにサツマイモ、じゃがいも、豆類、エンドウ豆などが炭水化物源として用いられることが多く、製品によっては肉・魚などの動物性たんぱくを重視する配合になっています。
穀物のコストへの効果
ペットフードの原材料については「ペットフードの表示に関する公正競争規約・施行規則」にて使用している重量が重い順に記載することとなっています。
いくつか価格の安めなペットフードの原材料表示を見てみましたが、「穀類」が一番最初に来ていることが多く、やはり穀物とコストの関連性は高いのではないか、と推察しています。
グレインフリーの良いところ
まず、グレインフリーには明確な利点があります。
- 穀物アレルギーへの配慮:一部の犬や猫は小麦やトウモロコシなどの穀物に含まれるたんぱく質にアレルギー反応を示します。こうした個体にとって、グレインフリーフードは症状の緩和に寄与する可能性があります。
- グルテン回避:小麦由来のグルテンに敏感な個体には、グレインフリーによりグルテン摂取を避けることができます。
グレインフリーが万能ではない理由
ただし、グレインフリー=常に良い、というわけではありません。以下の点に注意が必要です。
- 穀物にも栄養価がある:穀物は食物繊維やビタミンB群、ミネラルを含み、腸内環境の維持や全体の栄養バランスに貢献します。適切に配合された穀物は“不要な添加物”ではありません。
- 代替原料の特性:穀物の代わりに多用されるサツマイモや豆類、エンドウ豆は血糖値の変動や消化性に影響を与えることがあり、過剰に用いられると体重増加や栄養バランスの偏りを招くことがあります。
- 特定の健康リスクの指摘:一部で、特定のグレインフリー製品と犬の拡張型心筋症(DCM)に関連が疑われた報告があります。因果関係は完全に立証されていませんが、栄養成分や原材料構成が心臓の健康に与える影響を見落とさないことが重要です。
グレインフリーとアレルゲンフリーの違い
「グレインフリー」と「アレルゲンフリー(アレルギー対応)」は別の概念です。
グレインフリーは穀物を使っていないことを示すだけで、他のものにアレルギーをもっている場合はアレルギー症状の軽減につながりません。
アレルギー対策を行うには、獣医師の指導のもと疑わしい原料を除去して様子を見る「除去食試験」や、必要に応じて検査を行って治療方針を考えることが大切です。
グレインフリーを選ぶ際のチェックリスト
製品選びの際は以下を確認してください。
- 主原料は何か(具体的な肉や魚の名称が記載されているか)
- 総合栄養バランスは適切か(粗たんぱく質、脂質、繊維などの比率)
- 代替炭水化物(芋類や豆類)の割合が過剰ではないか
- メーカーの原料透明性や品質管理(AAFCOなどの基準準拠や解析表の有無)
- 既往症や体重、年齢に合わせた食事かどうか
具体的な注意事項
1) 皮膚トラブルや消化不良がある場合は、まず獣医師に相談しましょう。自己判断でフードを大きく切り替えると症状が悪化する場合があります。
2) アレルギーが疑われる場合は、前述の通り獣医師の指導のもとで適切な診察を受けることが好ましいです。
3) グレインフリーを選ぶ場合でも、製品ラベルをよく読み、成分のバランスが整っているか、代替原料に偏りがないかを確認してください。
4) 長期的な健康管理のために、定期的な体重測定や健康診断を怠らないことが大切です。
まとめ:グレインフリーは「選択肢」の一つ
グレインフリーは、穀物をつかっていないため、穀物に対しアレルギーにアレルギー反応を示す動物にとっては一つの選択肢です。
しかし「流行」や「穀物=悪」という単純化された理解で選ぶのは避けるべきです。
重要なのは、そのフードがあなたのペット個別の体質、年齢、活動量、既往症に合っているかどうかです。
穀物を含むフードにも有益な点はあり、「グレインフリー=動物にとっていい」わけではないことを理解する必要があります。
最後に、フード選びに迷ったら獣医師に相談し、必要ならば成分表を見せてもらいながら判断してください。
情報に基づいた選択が最も安心です。
当院のフードについて
当院では、「VET’S ADVICE」というペットフードを製造し、販売しております。
このフードはグルテンフリーではありませんが、国産原料・国内製造、AFFCO基準の栄養成分に準拠、乳酸菌の配合など腸活にも力をいれている、など様々なこだわりをもっています。
世の中にペットフードはたくさんあり、選ぶのが大変かと思いますが、価格はできるだけ抑え、必要十分を満たすこだわりのあるフードとして、大手ECサイトを中心に販売させていただいております。
また、当該フードのご購入者様には無料で当院獣医師が相談をお受けするサービス⋆も提供しております。
小さなサイズのご用意もしておりますので、是非お試しいただけると幸いです。
⋆わんちゃんの食餌に限らず何でもご相談いただくことが可能です。ただし、あくまでも診察ではなく相談であるため、個別の疾患についての質問などお答えが難しい場合がございます。