狂犬病の予防接種をしなければという記事はたくさんありますが、今回は「しなかったらどうなる?」という視点で考えてみたいと思います。
※予防接種は飼い主様の義務です。本記事は啓発を目的としています。接種しないことを推奨していません。
※このコラム中では、狂犬病予防法を「法」施行令を「令」施行規則を「則」と略して表現します。
※本コラムの執筆は法律の専門家ではありません。できる限り正確な内容を心がけてはおりますが、あくまでも参考程度にご利用頂き、不明な点はご自身でお調べいただくか、管轄行政機関または法律の専門家にご確認ください。
最初に義務の確認
法4条の義務
1.登録
わんちゃんを飼うと住んでいる自治体に登録の申請をしなければなりません。
こちらの登録は1週間に1回かつ、マイクロチップで代用可能な場合もあります。(則16条の2、動物愛護法39条の7)
届出項目は飼い主様のお名前や住所、種類などです。(則3条)
尚、マイクロチップを鑑札とみなした場合、もっている鑑札は返さなければいけません。(則16条の4)
鑑札扱いにしたマイクロチップを取り出す場合は届け出がいります。(則16条の3)
2.鑑札をつける
市町村長は登録されたわんちゃんの飼い主様に鑑札を交付する義務があります。
そして、交付されたらわんちゃんに鑑札をつけておくことも義務です。
鑑札は登録番号などが書かれています。(則5条)
なくしたり壊してしまったら再交付も可能ですが、なくしたものを見つけたら自治体に提出しなければなりません。(令1条の2、則6条)
3.その他
わんちゃんが死亡してしまったとき、所在地や飼い主様がかわったときも届け出が必要です。
届出には2の鑑札の番号などが必要です。(則9条)
法5条の義務
1.狂犬病予防注射
最もよく言われることですが、1年に1回狂犬病予防接種を受けさせることです。
時期について、改正される方針ではあるものの2025年12月現在では4月から6月に接種するよう規定しています。(則11条)
2.注射済票をつける
市町村長は注射を受けたわんちゃんの飼い主様に注射済票を交付する義務があります。
そして、交付されたらわんちゃんに注射済票をつけておかなければなりません。
注射済票には年度や市町村名が書いてあります。(則12条)
毎年新しいものをもらわないといけないということですね。
そして鑑札同様再交付も可能です。
後からなくしたものが出てきたら提出しなければいけないのも同様です。(令3条、則13条)
義務を果たさなければどうなる?
狂犬病予防法第6条は(抑留)の規定です。
狂犬病予防法には「予防員」という方が規定されています。(法3条)
この予防員は
- 登録を受けていない犬
- 鑑札を着けていない犬
- 予防接種を受けていない犬
- 注射済票を受けていない犬
がいると認めたときはこれを抑留(所定の場所に拘束すること)しなければなりません。(法6条)
また、抑留を行う為に犬を捕獲することができ、一定の条件のもと捕獲の為に人の土地等にも入ることができます。
この立ち入りは正当な理由がなければ拒めません。
めっちゃ怖い話。
とはいえ、過度に怖がる話ではなく、基本的に普通に一緒に暮らしているわんちゃんを捕獲するわけではありません。
徘徊しているわんちゃんとかを想定しているのだと思います。
その為、抑留されると、飼い主に通知され引き取りを求めることになっています。
(迷子札やマイクロチップ大事ですね。)
ただ、飼い主のわからないわんちゃんについては公示のうえ法律上「処分することができる」とあります。
鑑札や注射済票をつけておくことがまず前提ではありますが、そのうえで迷子札やマイクロチップなど、万一のときの為に飼い主様の情報がわかるものを絶対にわんちゃんに身に着けさせるようにしてくださいね。
普段気を付けていても、災害時などで離れ離れになってしまう可能性は有り得ます。
万一狂犬病にかかったら?
狂犬病に感染すると基本助かりませんので、法8条では診断した獣医師の届け出義務等を定めています。
診断された場合、わんちゃんは隔離する必要があり、人命に危険があって緊急やむを得ないときは
「殺すことを妨げない」
と恐ろしい文言が定められています。(法9条)
もちろん、積極的に殺そうとするものではなく、基本的には予防員の許可が必要です。(法11条)
そしてその周辺の都道府県知事が定める区域に住む全てのわんちゃんは一定の期間を定め口輪をかけ、けい留され、一斉検診、臨時の予防接種なども行われます。(法10条、法13条)
また、移動も制限されますし、緊急の場合は交通の遮断もすることができますし、けい留されていない犬の抑留や薬殺も規定が用意されています。
幸いにも国内では50年以上狂犬病が発生していませんが、発生したらえらいことになるのは法律の規定から感じ取っていただけるかと思います。
罰則
そして皆さんご存知罰則です。
- 登録をしない
- 鑑札をつけない
- 登録の変更等について届け出をしない
- 狂犬病予防接種を受けさせない
- 注射済票をつけさせない
上記の行為は全て罰則の対象です。(法27条)
狂犬病予防法違反での検挙数は毎年警察庁が公表しています。
生活事犯の検挙状況等について、という資料から引用です。
- 令和6年 162事件
- 令和5年 159事件
- 令和4年 135事件
- 令和3年 160事件
- 令和2年 163事件
- 令和元年 174事件
安定して(?)毎年160件くらい検挙されている感じなんですかね。
たまにニュースになったりもしてますし、きちんと義務は果たしておくべきですね。
義務を果たすことは愛情でもある。
犬と暮らすうえでの法的義務は、同時に命を守るための大切な行為でもあります。
大切な家族を守るためにも、日頃からしっかり対策していきたいですね。
当院も春先から予防イベントを開催してまいります。
LINEで予約も可能ですので、ぜひご活用くださいませ。
