「狂犬病の予防注射、まだ打っていないけど大丈夫?」
「6月を過ぎてしまったけど、今からでも打てる?」
「狂犬病ワクチンって、4月~6月じゃないとダメなの?」
犬を飼っている方から、このような疑問が出ることがあります。
2026年9月現在の制度では、狂犬病予防注射には原則として接種する期間が定められています。
一方で、このルールは2027年3月2日から大きく変わります。
これまで狂犬病予防注射は「4月~6月の間に受けさせる」ことが原則とされていましたが、2027年3月2日からは、この期間の限定がなくなり、通年で接種できる制度へ変更されます。
この記事では、現在の狂犬病予防注射のルールと、期間を過ぎてしまった場合の対応、そして2027年3月2日から何が変わるのかを分かりやすく解説します。
狂犬病予防注射は「年1回」が原則です
まず、最も大切なことから確認しましょう。
狂犬病予防法では、犬の所有者は、その犬に毎年1回、狂犬病の予防注射を受けさせなければならないとされています。
つまり、
「去年打ったから今年は打たなくてもいい」
というものではありません。
毎年1回の接種が必要です。
2026年9月現在の狂犬病予防法施行規則では、生後91日以上の犬について、原則として4月1日から6月30日までの間に狂犬病予防注射を1回受けさせることとされています。
そのため、毎年春になると自治体から案内が届いたり、集合注射が実施されたりするのです。
なお、2027年3月2日からは接種時期の法的な限定がなくなりますが、自治体による案内や集合注射などの取り組みまで全国全てなくなってしまうわけではありません。
(減る可能性等はありますが、各自治体の判断になるかと思います。)
「6月30日を過ぎたら、もう打てない」は間違いです
ここは重要なポイントです。
「狂犬病 期間 過ぎた」
「狂犬病 6月過ぎた」
「狂犬病ワクチン いつまで」
といった疑問から、このページをご覧になっている方も多いのではないでしょうか。
結論として、6月30日を過ぎたからといって、狂犬病予防注射を受けられなくなるわけではありません。
むしろ、まだ今年度の狂犬病予防注射を受けていないのであれば、できるだけ早く接種することが大切です。
現在の制度では4月1日~6月30日が原則的な接種期間ですが、その期間を過ぎたからといって「来年まで待てばいい」ということではありません。
「期間を過ぎたから、次の4月まで待とう」
と考えるのは避けましょう。
まだ接種していない場合は、動物病院などに相談し、速やかに接種することをおすすめします。
6月を過ぎてしまったからといって、予防注射そのものができなくなるわけではありません。動物病院で接種を断られるというようなケースも通常は考えにくいため、まずはかかりつけの動物病院などに相談してみましょう。
2026年度の狂犬病予防注射をまだ受けていない場合は?
2026年度の狂犬病予防注射については、原則として2026年4月1日から6月30日までが接種期間でした。
もし、この期間を過ぎてしまった場合でも、
「もう今年度は接種しなくていい」
ということではありません。
未接種のままにせず、できるだけ早く接種しましょう。
特に、
・忙しくて接種を忘れていた
・案内を見落としていた
・引っ越しなどで接種のタイミングを逃した
・犬の体調などを考えて延期していた
など、さまざまな事情で接種が遅れることがあります。
「6月を過ぎてしまったから、もう手遅れ」と考えず、まずは接種について動物病院に相談することが大切です。
また、引っ越しなどで住所が変わった場合には、犬の登録に関する手続きが必要になることがあります。接種だけでなく、自治体での手続きについても併せて確認しておきましょう。
では、なぜ4月~6月という期間が決められているのでしょうか?
狂犬病予防注射が4月~6月に集中しているのは、法律上のルールがあるためです。
現在の狂犬病予防法施行規則では、生後91日以上の犬について、原則として4月1日から6月30日までの間に1回、予防注射を受けさせることになっています。
しかし、この制度には以前から課題も指摘されていました。
例えば、飼い主様の仕事や生活環境などによって、3か月間のうちに接種することが難しい場合があります。
また、動物病院や自治体などに接種時期が集中することで、年度初めの業務負担が大きくなるという問題もありました。
こうした背景から、狂犬病予防注射の接種時期について制度の見直しが進められてきました。
厚生労働省が自治体に行ったアンケートでも、通年接種を可能とすることについて約7割の自治体が賛成しています。
ただし、動物病院の立場からすると、狂犬病だけが犬の予防ではありません。
春はフィラリア症やノミ・マダニなど、ほかの予防についても考える時期です。
そのため、制度が変わったとしても、春、特に蚊が活動を始める前の時期に一度は動物病院を受診し、愛犬の予防についてまとめて確認しておくことをおすすめします。
2027年3月2日から狂犬病予防注射のルールが変わります
ここが今回の大きなポイントです。
2027年3月2日から、狂犬病予防注射について大きな制度変更が行われます。
これまでの、
「4月1日から6月30日までの間に受けさせなければならない」
という接種時期の規定が見直され、通年での接種が可能になります。
つまり、2027年3月2日以降は、
「4月~6月に間に合わなかったから、法律上どうしよう」
という現在のような「接種期間」の問題がなくなります。
ここで注意したいのが、今回の改正は当初「2027年4月1日から施行」とされていた点です。
その後、施行日が前倒しされ、2027年3月2日から施行されることになりました。
この変更は、特に毎年3月ごろに狂犬病予防注射を受けている犬の飼い主様にとって重要なポイントです。
2027年3月2日から何が変わる?
今回の改正では、単純に「4月~6月という期間がなくなる」だけではありません。
もう一つ重要なのが、3月2日から3月31日に接種した場合、翌年度の注射済票を交付するという現在のルールも廃止されることです。
現在の制度では、3月2日から3月31日までに狂犬病予防注射を受けた場合、その注射は翌年度分として扱われます。
例えば、2026年3月2日以降に狂犬病予防注射を受けていれば、2026年度(令和8年度)の狂犬病予防注射を受けたものとして扱われます。
ところが、2027年3月2日からはこの仕組みが変わります。
改正後は、実際に予防注射を受けた時期と、注射済票の年度を合わせることになります。
つまり、2027年3月2日から3月31日に接種した場合は、2027年度(令和9年度)分ではなく、2026年度(令和8年度)分として扱われます。
2027年3月2日~3月31日に接種する場合は要注意
ここは、毎年3月に狂犬病予防注射を受けている方には特に注意していただきたいところです。
2026年4月以降に接種している場合は接種年度と注射済票の年度が一致していますので同時期にうてばよいという話になりますが、2026年3月2日~3月31日に受けているわんちゃんの場合は、接種は令和7年度ですが、注射済票は令和8年度のものです。
そのわんちゃんが、2027年3月2日~3月31日にもう一度狂犬病予防注射を受けた場合、改正後の制度ではその接種も令和8年度分として扱われることになります。
つまり、同じ年度の予防注射を2回受けることになってしまいます。
2027年度(令和9年度)分として狂犬病予防注射を受けたいのであれば、2027年4月1日以降に接種するという考え方になります。
そのため、2027年3月2日以降に接種する場合は、前年にいつ狂犬病予防注射を受けたのかを確認しておくことが大切です。
「毎年3月に接種している」という方は、今後は接種時期を4月以降に変更することも一つの方法でしょう。
その場合、混合ワクチンを3月にしても良いかもしれません。
一方で、2027年3月になってもまだその年度の狂犬病予防注射を受けていないのであれば、3月に接種し、その後も毎年3月ごろに接種するという方法も考えられます。
法令上は3月に接種、4月に接種で一気に2年度分対応可能ですが、当院では、同じワクチンを2か月連続のような短期間での再接種はおすすめしていません。
接種時期について迷う場合は、他のワクチンの接種時期なども含め、動物病院に相談するようにしましょう。
予防接種時期早見表
| 最後の接種時期 | 次回接種時期 |
|---|---|
| 2026年3月1日以前 | 速やかに(当院での接種についてはこちら) |
| 2026年3月2日~2026年3月31日 | 2027年4月~ |
| 2026年4月1日以降 | 2027年4月~ |
2027年から「いつでもいい」なら、狂犬病予防注射を忘れちゃわない?
これも今回の制度変更で懸念されているポイントです。
法改正によって接種期間が限定されなくなりますが、
「狂犬病予防注射は好きなときに打てばいい」
「今年打たなくても、来年打てばいい」
という意味ではありません。
改正後も、犬の所有者には毎年1回、狂犬病の予防注射を受けさせる義務があります。
変更されるのは、「4月1日~6月30日の間に接種しなければならない」という期間の部分です。
つまり、
年1回の接種義務は残る。
4月~6月という期間の縛りがなくなる。
この2つは分けて考える必要があります。
厚生労働省も、今回の改正にあたり、接種時期が通年化することで接種間隔が延びることを防ぐため、少なくとも毎年同時期に1回接種することについて周知するよう自治体に求めています。
「いつでも打てる」からこそ、忘れない仕組みが大切
通年接種が可能になることで、飼い主様にとっては予定を立てやすくなるというメリットがあります。
例えば、
・春は仕事が忙しい
・引っ越しの予定がある
・犬の体調や生活リズムに合わせたい
・動物病院が混雑する時期を避けたい
といった場合でも、年間を通して接種時期を検討できるようになります。
その一方で、「4月になったら狂犬病」という分かりやすい習慣がなくなることで、接種そのものを忘れてしまう可能性もあります。
実際、厚生労働省の審議会では、通年接種に反対する自治体から、その理由として「予防注射時期が分散することによる督促通知のタイミング等を含む啓発活動への支障」が挙げられています。
また、通年接種後も接種率や抗体保有率が低下しないよう、督促通知のタイミングなどを含めた取り組みが重要とされています。
だからこそ、今後は「4月になったら打つ」ではなく、
「自分の犬の狂犬病予防注射は、いつ受けたのか」
を飼い主様自身が把握しておくことが、より重要になるでしょう。
動物病院や自治体も、今まで以上にリマインドなどの取り組みを行い、接種忘れを防いでいく必要があるのかもしれません。
狂犬病予防注射は「期間」だけを気にしないことが大切
「狂犬病の予防注射はいつまで?」
という疑問から、この記事をご覧になった方も多いと思います。
2026年9月現在の制度では、原則として4月1日から6月30日が接種期間です。
そのため、2026年度分をまだ受けていない場合は、「来年まで待つ」のではなく、できるだけ早く接種することをおすすめします。
そして2027年3月2日からは、制度が変わります。
4月~6月という期間のルールはなくなり、通年で狂犬病予防注射を受けられるようになります。
ただし、
「期間がなくなる」=「接種しなくてもいい」
ではありません。
狂犬病予防注射は、今後も犬を飼う上で欠かせない予防の一つです。
また、2027年3月2日からは、3月2日~3月31日に接種した場合に翌年度分として扱う現在のルールもなくなります。
「毎年3月に接種している」という方は、これまでとは考え方が変わりますので、特に注意してください。
制度が変わるタイミングだからこそ、今一度、ご自身の愛犬が「最後に狂犬病予防注射を受けたのはいつなのか」を確認してみてはいかがでしょうか。
2026年度未接種の方へお知らせ
現在当院では春の予防接種イベントについて、一部秋にも実施しております。
今年の予防がまだの方は、是非ご検討くださいませ。