以前のコラムでもご案内しておりましたが、狂犬病予防法施行規則の一部を改正する省令が令和8年4月1日に公布されました。
わんちゃんの飼い主様皆様に関係してくる部分もありますので、こちらで改正についてまとめてみたいと思います。
※本稿の執筆者は法律の専門家ではございません。本稿の解釈や表現が正しいものであることを保証するものではございませんので、各法令の解釈にあたっては行政への確認等自己責任で行っていただくようお願い申し上げます。
改正まとめ
まずは結論的にまとめてみたいと思います。
施行日について
令和9年3月2日(火曜日)施行となる予定です。
変更内容について
| 変更内容 | 変更前 | 変更後 |
|---|---|---|
| 予防接種期間 | 毎年4月~6月に1回 | 一年に1回どのタイミングでもOK |
| 3月2日~3月31日
までの接種 |
翌年度のものと取り扱う | 翌年度のものと取り扱わない |
尚、4月1日から6月30日は今後、予防接種強化月間となるようです。
改正タイミングでの注意事項
令和9年3月2日施行となるため、令和9年3月2日から令和9年3月31日までの間に狂犬病予防注射を接種した場合は令和9年度に再度接種する必要がでてきます。
勿論、解釈としては令和9年3月に接種→令和10年3月に接種でも特段問題はないと思われますのでそこまで気にすることではないかもしれませんが。
尚、余談ですが本年(令和8年度)の予防接種は6月末(今月末)までに受けさせる必要があります。
本改正について
今回の改正については行政内部で提案があったようです。
4月の年度始めでバタバタするのもあって、狂犬病の処理が大変だったとか…
施行前の資料について、アンケートがのっているのですが
「年度当初の繁忙期と重なり、業務過多となっている。」と回答した自治体は何と86%。
「4~6月に注射をしなければならないことについて飼い主への説明に苦慮する。」と回答したのは47%でした。
また、本件時期見直しについてのアンケートには賛成反対色々と意見がありましたが、その中に「すでに形骸化している」という意見もありました。
現場での肌感としても実際そうだよなぁと思う部分もあります。
動物病院への影響について
動物病院も混雑するので飼い主様もスタッフも大変な時期ではありましたが、フィラリアやノミ・マダニが時期を待ってくれる訳ではないのでそこまで動物病院には影響しないかもしれません。
そもそもこれまで4月~6月に接種していたものをわざわざ9月や10月などにずらす必要もありませんからね。
集合注射への影響について
一方、施行前の資料で集合注射については気になる結果が出ています。
当時、集合注射を行っているという回答は90%。
接種期間の変更後も実施すると回答していた自治体は60%。
大阪市はじめすでに辞めている自治体もありますが、今後もさらに減っていきそうです。
獣医師会の反対について
獣医師会は予防接種率低下の懸念や集合注射の実施根拠希薄化による獣医療過疎地域での注射機会確保の困難化などの観点から反対されていたようです。
この意見には頷ける部分も大きいです。
また、今のところ大丈夫じゃないかなぁとは思うのですが、ワクチンも期限があるものですから、あまりにも分散すると廃棄する部分が出てきて、結果注射コストの増大という可能性も懸念されているようです。
まとめ
色々と書いてきましたが、正直これまで通りの予防医療で何ら問題はないお話です。
あえて予防時期をずらす必要もないと思いますし、時期が4月でも6月でもダメになる訳ではないですしね。
当院といたしましても、来年度以降も予防接種率の向上のための活動、狂犬病についての啓蒙活動など変わらず継続していきます。
狂犬病の予防接種についてお悩みがあればお気軽にご相談くださいませ。
参考資料について
上記で取り上げている資料については下記より確認できます。
●狂犬病予防法施行規則の一部を改正する省令(令和8年厚生労働省令第73号)の概要
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou18/dl/260421-01.pdf
●厚生労働省第100回厚生科学審議会感染症部会 資料
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_65572.html
●大阪市ホームページ
https://www.city.osaka.lg.jp/kenko/page/0000677026.html
条文の新旧対照表(紹介部分抜粋/狂犬病予防法施行規則)
| 旧 | 新 |
|---|---|
| (予防注射の時期) 第十一条 生後九十一日以上の犬(次項に規定する犬であつて、三月二日から六月三十日までの間に所有されるに至つたものを除く。)の所有者は、法第五条第一項の規定により、その犬について、狂犬病の予防注射を四月一日から六月三十日までの間に一回受けさせなければならない。ただし、三月二日以降において既に狂犬病の予防注射を受けた犬については、この限りでない。 2 生後九十一日以上の犬であつて、三月二日(一月一日から五月三十一日までの間にその犬を所有するに至つた場合においては、前年の三月二日)以降に狂犬病の予防注射を受けていないもの又は受けたかどうか明らかでないものを所有するに至つた者は、法第五条第一項の規定により、その犬について、その犬を所有するに至つた日から三十日以内に狂犬病の予防注射を受けさせなければならない。 3 前二項の場合において、狂犬病の予防注射を受けさせなければならない犬を所有者以外の者が管理するときは、第一項中「所有される」とあるのは「管理される」と、「所有者」とあるのは「管理者」と、前項中「所有する」とあるのは「管理する」と、それぞれ読み替えるものとする。 |
(予防注射) 第十一条 生後九十一日以上の犬の所有者は、法第五条第一項の規定により、その犬について、狂犬病の予防注射を受けさせなければならない。 2 生後九十一日以上の犬であつて、所有するに至つた日から遡り一年以内に狂犬病の予防注射を受けていないもの又は受けたかどうか明らかでないものを所有するに至つた者は、法第五条第一項の規定により、その犬について、その犬を所有するに至つた日から三十日以内に狂犬病の予防注射を受けさせなければならない。 3 前二項の場合において、狂犬病の予防注射を受けさせなければならない犬を所有者以外の者が管理するときは、第一項中「所有者」とあるのは「管理者」と、前項中「所有する」とあるのは「管理する」と、それぞれ読み替えるものとする。 |
| 第十二条 5 毎年三月二日から同月三十一日までの間に実施する狂犬病予防注射について、第二項の規定に基づき市町村長が交付する注射済票は、翌年度のものとする。 |
(注射済票の交付)
第十二条 |
参考:狂犬病予防法第五条第一項
(予防注射)
第五条 犬の所有者(所有者以外の者が管理する場合には、その者。以下同じ。)は、その犬について、厚生労働省令の定めるところにより、狂犬病の予防注射を毎年一回受けさせなければならない。