「毎年ワクチンを打っているから安心。」
「室内で飼っているから感染症とは無縁。」
「去年の予防薬が残っているから今年も使おう。」
このような考え方をしたことはありませんか?
愛犬の健康を守るために行う予防ですが、実は何気ない習慣が十分な予防効果を得られない原因になってしまうことがあります。
今回は、動物病院でもよくご相談いただく「犬の予防でやってしまいがちなNG習慣」を8つご紹介します。
NG① 「去年も接種したから今年は大丈夫」
混合ワクチンは一度接種すれば一生効果が続くわけではありません。
感染症によって免疫が持続する期間は異なり、犬の年齢や健康状態、生活環境によっても必要な予防は変わります。
また、ワクチン接種は「注射を打つこと」だけが目的ではありません。
毎年健康診断を兼ねて体調を確認し、その年に必要な予防を見直す大切な機会でもあります。
「去年打ったから今年は不要」と自己判断するのではなく、毎年かかりつけの動物病院で相談しましょう。
NG② 「完全室内飼育だから感染症にならない」
「外に出ないからワクチンはいらない」と考える方もいますが、感染症は散歩だけが感染経路ではありません。
飼い主さんの靴や衣類、来客、動物病院への通院などを通じて病原体が持ち込まれる可能性があります。
また、災害や急な入院などでペットホテルを利用しなければならない場合、ワクチン接種証明書が必要になることも少なくありません。
室内飼育でも、必要な予防については獣医師と相談することが大切です。
NG③ 「小型犬だからワクチンは半分で十分」
「体が小さいからワクチンの量も少なくしたほうが安全では?」というご質問をいただくことがあります。
しかし、犬用ワクチンは体重によって量を調整する薬ではありません。
体格に関係なく、十分な免疫をつけるために必要な量が製剤ごとに決められています。
まず受け入れる獣医師はいないと思いますが、仮に接種量を減らしてしまうと、期待される免疫が得られない可能性があります。
NG④ 「フィラリア予防は蚊を見かけてから始めればいい」
フィラリア症は、フィラリアが体にはいることを予防する薬ではありません。
基本的には、フィラリアの幼虫が体に入ったあと、駆除することで症状の発生を防ぐ仕組みです。
そのため、「蚊が出たから飲ませる」のではなく、地域ごとの予防開始時期に合わせて継続することが重要です。
家でたまたま見なくても、散歩コースには出ているかもしれません。
飲み始めだけでなく、飲み終わる時期も忘れないようにしましょう。
NG⑤ 「冬はノミ・ダニはいないから予防しなくていい」
確かに真冬は活動が少なくなる地域もあります。
しかし、暖房の効いた室内や都市部では一年を通してノミやダニが活動していることがあります。
また、近年は気候変動の影響もあり、ダニの活動期間が長くなる傾向もみられます。
愛犬の生活環境に応じて、年間を通した予防が必要な場合もあります。
NG⑥ 「去年余った予防薬を今年も使う」
「薬が余っていたから使いました」というケースも珍しくありません。
しかし、犬の体重は1年で変化していることがあります。
体重に合わない予防薬では十分な効果が得られなかったり、副作用のリスクが高まったりする可能性があります。
さらに、有効期限が切れている場合や保管状態によって品質が低下していることもあるため、前年の薬を自己判断で使用することはおすすめできません。
余っている場合もまずは獣医師にご相談いただくことが重要です。
NG⑦ 「インターネットで買えば同じだから大丈夫」
現在ではインターネットでもさまざまな予防薬が販売されています。
(フィラリアのお薬は海外からの個人輸入ですが)
しかし、正規の流通ルートではない製品では、保管状況や品質が確認できない場合があります。
また、体重や健康状態に合わない薬を選んでしまうリスクもあります。
予防薬は「安く購入すること」よりも、「安全に、適切に使用すること」が何より重要です。
海外では、予防薬の偽物で健康被害がでた事例もあります。
愛犬に合った予防薬は、獣医師の診察を受けたうえで選ぶことをおすすめします。
NG⑧ 「元気だから予防しなくても大丈夫」
予防は「病気になってから行うもの」ではありません。
感染症や寄生虫症の多くは、発症してからでは治療が難しかったり、命に関わったりすることがあります。
元気な今だからこそ予防を行い、病気を未然に防ぐことが大切です。
「元気だから病院へ行かない」ではなく、「元気だからこそ予防のために病院へ行く」という考え方が、愛犬の健康寿命を延ばすことにつながります。
まとめ
犬の予防では、飼い主さんが善意で行っていることが、実は十分な予防効果を得られない原因になっていることがあります。
今回ご紹介した8つのNG習慣を振り返ると、
- 自己判断でワクチンを延期しない
- 室内飼育でも必要な予防を考える
- ワクチンや予防薬は適切な量・時期で使用する
- 前年の薬を使う場合は獣医師と相談する
- 予防は元気なうちから継続する
ことが大切です。
予防方法は、犬種や年齢、生活環境によって異なります。
愛犬にとって本当に必要な予防を知るためにも、毎年の健康診断やワクチン接種の際に、ぜひかかりつけの動物病院へご相談ください。
適切な予防を続けることが、愛犬との健やかな毎日につながります。