定期確認を!ペットの災害対策最重要5項目!【獣医師監修】

年始の能登半島地震から早半年。
被災された方々に改めてお見舞い申し上げます。

また、今回の能登半島地震では1万匹以上のペットが被災したと推測されています。
いつ起こるかわからない災害に対して、動物病院としてこの機会にペットの災害対策を書いていきたいと思います。
本記事は環境省の災害時におけるペットの救護対策ガイドラインを参考に、獣医師の意見を踏まえ作成しています。
よろしければ、環境省の冊子についてもご一読いただき、より一層の理解いただけますと幸甚です。

環境省:災害時におけるペットの救護対策ガイドライン

基本的な災害対策は日常から

日本は地震の多い国だと思いますが、その他にも台風などで避難が必要になることがあります。
ペットの災害対策については平常時から考えておくことが重要です。

1.マイクロチップは必ず挿入しよう

一緒に避難が出来れば一番良いのですが、例えば飼い主様が外出中の災害等ですぐに合流できない、地震などでペットが逃げてしまったという事も考えられます。
災害にあった時はまず第一に命を守る行動をとり、安全を確保できた時点で探すことが重要ですが実際に探す際はマイクロチップが非常に役立ちます。

令和4年6月の法改正にて犬と猫のマイクロチップが義務化されました。
このマイクロチップを使用することで飼い主様の確認ができ、再会の一助になるはずです。
是非、未挿入の動物は動物病院にて対応いただき、マイクロチップ挿入後は登録情報を常に最新の状態に保っておいてください。
ちなみに情報の登録はオンラインで可能ですし、登録しておくことで殆どの自治体では鑑札の代わりになります。
また、原始的ですが迷子札も役立つケースが多いと思いますので併せてどうぞ。

2.住まいの防災も大事

昔と違って昨今はペットも家の中で暮らしていることが多いと思います。
その為、家を災害に強くしておくことは命を守るために非常に重要です。
具体的には、家の耐震化等ができるようであれば実施しておく方が良いでしょうし、屋根や外壁等傷んでいないか定期的に確認をしておくことも大切です。
わんちゃん等外飼いの場合は塀が倒れたり物が上から落ちてきたりしないように配置に注意してください。

また、プロパンガスを使っているご家庭では鎖等で倒れないように補強しておきましょう。
災害時は臭いチェックも重要です。
(プロパンガスは漏れに気づけるよう臭いがついています。)
付随して消火器、火災警報器、漏電遮断器、感震ブレーカー等の設置もできれば。

ご家族・動物の避難経路の確保も必要です。
キャリー等も普段から慣れさせておき、スムーズに避難できるようにしておきましょうね。
リードや首輪も抜けないよう、しっかりと。

3.人用だけでなくペット用の避難グッズも用意しておこう

人用として、地震の際などは特に靴が大事だとよく聞きます。
割れたガラス等でケガしないように、寝室に用意しておくのも良いかもしれません。
懐中電灯や万が一物が落ちてきたり壁が崩れたりした場合にむけバールやスコップも用意しておくとより安心です。
ガムテープもお役立ち商品のようです。

また、ペットと人では必要なものが異なりますので、人用と動物用の防災セットをご準備ください。
動物用の防災セットも最近は通販でよく販売されています。
持病のある子は必要な物が異なる可能性もあるので、一般的な防災セットをベースに獣医さんと相談してオーダーメイドの防災セットをご用意ください。

ペットの避難物資は人に比べて遅れがちです。
東日本大震災ではペット用物資が緊急車両として認められなかったケースも。
フード・水等毎日必要なものは一週間分程度は用意しておいてください。
また、期限が切れていないかも定期的に確認してくださいね。

加えて、これは理想ですがわんちゃん手帳、猫ちゃん手帳みたいなものがあると良いです。
動物病院にかかった都度記載し、ワクチンの接種歴、既往歴等の情報があるだけでも、その後の健康管理等に非常に役立ちます。

各手帳はネットで販売されているほか、自治体が愛犬手帳、愛猫手帳を出している場合もあります。

大阪市愛犬手帳
大阪市愛猫手帳

4.避難所も確認しておこう

避難所にはたくさんの人が集まります。
中には動物の苦手な人やアレルギーをお持ちの方もいらっしゃいますので、配慮は絶対に必要です。
特にしつけに難があると生活が難しくなってしまいますので、日頃から心がけておくことが重要です。

地域の防災訓練などは積極的に参加しておき、避難所は事前に確認しておきましょう。
自治体のホームページ確認も大切。
大阪市では「避難所開設・運営ガイドライン」でペット同行避難についてある程度基準を設けています。

大阪市:避難所開設・運営ガイドライン

5.予防はしっかりしておこう

避難はペットにとっても大きなストレスです。
免疫力の低下、他の動物との接触機会の増加が想定されますので、予防接種や寄生虫予防は絶対にしておいた方が良いでしょう。
うまく避難ができたとて、その状況がどのくらい続くのかはケースによって異なります。
緊急事態の中、動物の健康を守るためには日頃からしっかりと予防意識を持っていることが大切です。

災害は日頃から考えておくことが大事

悲しいかな災害時のペットの安全確保等は遅れがちです。
各自治体も色々なことを考えてくださってはいますが、人間の対策さえまだまだ課題がある状況。
現時点では十分な対策とは言えないのが実情です。
大切なペットを守るために是非、飼い主様にも災害を「いつか起こること」と捉えていただき、しっかりと備えをしてもらえると嬉しいです。
当院も系列病院と連携しできることをしっかり頑張ってまいります。