狂犬病ワクチンと混合ワクチンの同時接種、なぜダメ?【獣医師監修】

嬉しいことにファミリー動物病院へのお問い合わせをたくさん頂戴するようになりましたので、多いお問い合わせは詳しくご説明させていただきます。
今回は、狂犬病ワクチンと混合ワクチンの同時接種についてです。

狂犬病ワクチンと混合ワクチンの同時接種、なぜダメ?

シンプルに、安全のためです。

まず、コロナワクチンの件でよく言われていましたが、動物達のワクチンにももちろん副反応があります。
一般的に副反応は好ましくないものですので、そのリスクはできる限り低減できるようにしなければいけません。
また、副反応が起きた時の対応も想定しておかなければいけません。

そこで、同時接種、または近い間隔での接種は下記のような問題が発生します。

●そもそもワクチンが同時接種を想定して作られていない。

狂犬病ワクチンも複数種類がありますし、混合ワクチンもたくさん種類があります。
メーカーさんも違いますし、仮に同じメーカーであったとしても同時接種が一般的でない以上、同時接種の前提で安全性の検証はしていないでしょう。
その為、同時接種をすることで予期しない副反応が起きるリスクが高まります。

少し話は変わりますが、食べ合わせを想像してもらうとわかりやすくイメージできるのではと思います。
その子に対し、単体では問題なかったとしても、一緒にすると問題になる可能性もあるというお話です。

●副反応が出た時の原因が特定しづらくなる。

同時接種して副反応が出ました。
さて、原因は狂犬病ワクチンでしょうか、混合ワクチンでしょうか…
これを一般的な動物病院で特定するのは非常に難しいでしょう。
個々の症状に対しての対処としては大きく変わらないかもしれませんが、危険性を増すことは疑いようもないと思います。

尚、副反応は怖いものですが、各製薬会社さんが徹底的に検証し、そのリスク以上にワクチンで病気を予防する利益が勝ると判断されているからどこの動物病院でも接種しています。
実際の副反応率もそこまで高くありません。
必要以上に怖がらず、不安は専門家である獣医師にご相談ください。

じゃあ、どのくらい空ければ大丈夫?

一般的には下記の通りです。

狂犬病ワクチン⇒次のワクチンまで1週間以上
混合ワクチン⇒次のワクチンまで20日~以上

とはいえ、上記はあくまで最低限であって、ざっくり1ヶ月は空けておいた方が無難です。

その他の予防との兼ね合いは?

その他の予防として一般的なものは

  1. ノミ・マダニの予防
  2. フィラリアの予防
  3. 内部寄生虫(お腹の虫)の予防

ですが、こちらは接種日に処方することはどこの動物病院でも可能です。
(というか、それが一般的です。)

ただ、できれば接種日の投与は避けるべきでしょう。
最低3日程度は空けておく方がよいと思います。

また、当院では行っていませんがフィラリアには注射薬もあります。
これはワクチン同様にもう少し空けるべきですので、注射される際は獣医師によく確認をお願いします。
尚、フィラリア検査については接種日との兼ね合いは特に気にしなくて大丈夫です。

狂犬病・混合ワクチン先にどっちを打つべき?

これに明確な答えはありませんが、基本的には狂犬病ワクチンには接種期間(4月から6月)が定められています。
なので、この期間ギリギリに打つのであれば狂犬病予防接種を優先すべきでしょう。
余裕があるなら混合ワクチンを優先しても大丈夫です。

尚、狂犬病予防接種期間を過ぎた場合でも接種義務が免除になる訳ではないのでご注意ください。
必ず年1回の接種が必要です。(動物病院にいけばいつでも打てます。)

また、ちなみにですが3月2日以降は次年度の狂犬病予防接種を受けられます。
だいたい3月中には自治体から狂犬病予防接をしてくださいねというハガキが届くかと思いますので、忘れないよう早めに行っておくのがいいかもしれません。

予防医療の向上について

狂犬病のコラム混合ワクチンのコラムも書いておりますが、予防医療は非常に重要です。
今愛犬や愛猫と過ごしている幸せが予防できる病気で壊れてしまったら、多分すごく後悔すると思います。
一方で、義務である狂犬病を含め予防医療を受けていない動物達がまだまだいることも事実。
そこで、当院ではイベントという形式で、日常の買い物等のついでに予防医療を提供する往診を開始いたしました。
また、一部ブリーダーさんなどへ伺い、予防接種を実施する等の活動も実施しています。

獣医療をもっと身近に感じていただき、予防医療100%を目指して、これからも活動してまいります。
当院のイベントにご興味をお持ちいただけましたら、下記よりご確認ください。

また、ブリーダー様やシェルター様等たくさんの動物さんを抱えてらっしゃる皆様、お力になれることがありましたら下記お問い合わせよりご連絡ください。
※ご要望に必ず応えられることをお約束するものではありません。予めご了承ください。